第664回男塾「ルソン島の戦跡を巡る」後編・・・マニラとの架け橋・・・
マニラの現状
マニラ湾の入り口にある「コレヒドール島」はフィリピン戦の最激戦地となった島であり、米軍の海上要塞であった。この重要軍事拠点を指揮していたのがマッカーサーだ。しかし日本軍の攻撃によって「I shall return」の言葉を残して米軍はこの島を放棄して撤退し、無様にもマッカーサーは身一つでオーストラリアまで逃げた。この時に敵将のマッカーサーをとっ捕まえておけば、その後の日米戦の展開は違うものになっていたはずである。取り逃がしてしまったことは実に惜しい。
この戦跡を見学するのを楽しみに来たのだが、現地に行って驚いたことに何と、週一回、日曜日しか観光ツアーの船は出航しないというではないか。日曜日に帰国予定の旅だったので万事休す。マニラ近郊ではここが最大の戦跡地であったので、情けないことに旅の目的を達成することができなかった。まさか週一回しか出航しないなど想定外のこと。続きはまたの機会ということになった。
そこで、ハワイの旅同様にマニラ事情と物価について触れておかねばなるまい。世界の現実を見聞きすることは旅のもう一つの重要な目的である。ハワイは日本の約3~4倍の物価で腰を抜かしたが、マニラにもまた別の意味で驚かされた。「東南アジア諸国」=「安い」だったが、それは今は昔のこと。円安と賃金アップによる物価高により日本との格差どんどん縮まっており、今はあまりなくなってきている。
日本が勝手に30年間立ち止まってだけで世界は動き続けていたのだから当然のことかもしれない。やっとここ数年の間で春と秋には食料品や生活物資の約4,000品目が一斉値上げが行われるのが通例となり物価は上昇トレンドに変化しているものの、先進国の物価水準からは程遠い。デフレを30年続けた日本とインフレを30年続けた世界中との格差は想像以上に縮まってしまっている。よってベトナムに行こうが、インドネシアに行こうが、タイに行こうが、この傾向は変わるまい。