2024/09/27

第657回男塾「お金を減らす幸福論」前編・・お金を使って減らせ・・

エッセイ
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第657回男塾「お金を減らす幸福論」前編・・お金を使って減らせ・・


死ぬときに最も金持ちになっている日本人
優しい日本語なのでタイトルの意味は分かるだろうが、何が言いたいかは分からないタイトルだと思う。「お金を増やそう」というのなら分かるが「減らそう」、と聞くと意図が分からるまい。決してタイトルを間違えたのではなく、文字通り「お金を減らそう」というのが本論考の趣旨であり、お金を減らす向こうにある幸福を得るための誘いである。今回の論考は珍しく桜大志の「エッセイ」にあたる。自身が培ってきた価値観を吐露しつつ、「お金を減らす幸福」について語ってみたい。


私は常日ごろから「預金通帳に記されているのは記号や数字でしかない。お金は貯めるばかりせず使わなければ意味がない」と人に言っている。「いや預金通帳にはほとんど残金がないので使う金などない」と言う人は、儲けてから読んでもらって結構である。


事件に巻き込まれたりアクシデントがない限り、年齢に応じて貯金は年々貯まり余裕ができてくるのが平均的日本人の暮らしである。それに加えて日本人は世界一貯蓄する国民と言われており、お金を貯める傾向性が遺伝子にあるため、ほっとけば勝手に貯まってしまう。その結果、国民は国家の累計債務を雄に超える累計個人資産を所有している。とにかくいつまでいつまでも、上限なくお金を貯め続けるのが日本人であると言えよう。


しかし、いくら貯めても老後不安を抱えているのだから外国人は理解できないだろう。既に老後を生きているのにも関わらず老後不安から貯蓄を続け、または使いたくても健康障害によってお金を使うことができなくなってしまい、結果的に死ぬ時が最も高額の金融資産を持って死んでいっているという笑ってはならない現実がある。まるでお金を貯めるために生涯を過ごし、たいして使わないで死ぬ。それが国民性として確かにあることを我々は認めねばならない。


国は個人金融資産を使って欲しくてNISAを拡充したり、企業は高貯蓄者の財布の紐を緩めるべく魅力的な使い道を提案しているが、どうも思ったほどの効果がないようである。証券会社の営業マンは、いくら笛吹けど踊ってくれない日本人に頭を痛めている。それと比較したら若者はよく使っている。家やマンションや高級車を購入し、旅行やグルメを楽しんでいる。

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