第628回男塾「イスラエルとパレスチナ 人類史上最もやっかいな問題」5
アラブの大蜂起
パレスチナがアラブ人とユダヤ人の紛争によって荒廃する中、ヨーロッパのユダヤ人、また実際には西洋文明にとっての新たな脅威が増しつつあった。ファシズムが台頭し、 第一次世界大戦後の脆弱な秩序は崩壊寸前になっていた。世界の体制は破壊され初期のシオニストの恐ろしい予測が現実となり、歴史の流れが変わろうとしていた。
1933年、反ユダヤ主義者で人種差別主義者のアドルフ・ヒトラーがドイツ首相に就任した。ここから「ユダヤ人600万人虐殺」という人類史上最も悲惨極まりないジェノサイドが秒読みになる。
強制収容所で集められた囚人の靴
ヒトラーの当面の目標はヨーロッパ全土を征服し、ドイツ人という支配者民族のための生存権 (レーベンストラウム)を作ることだった。 レーベンストラウムとは、ユダヤ人、社会主義者、 同性愛者、 労働組合、劣性遺伝者、その他望ましくない者が存在しない領域のことである。それはまた、生存権を求めて東方地域への領土拡大をも含んでいた。