第627回男塾「イスラエルとパレスチナ 人類史上最もやっかいな問題」4
※12月に配信していたシリーズ(第622回)の続きをお届けする
取り返しのつかないイギリスの二枚舌外交
ではその後のパレスチナで起きた歴史を追っていこう。パレスチナの歴史にイギリスが登場して来ることになる。それはレフェリー役としてイスラエル・パレスチナ間の調停をしてくれるので良かったではないかと思う人もいようが、真逆である。
パレスチナ問題に対して火に油を注いだのはイギリスであった。それを簡単に翻訳して言うと、イギリスは「ユダヤには建国を約束し、アラブに対してはアラブの建国を支持したのである。」これは混乱する。両方にいい顔をしたわけだ。イギリスによる中東での二枚舌外交は一層の混乱を生んだ。もっとはっきり結論を言うと、世界戦争の火種となっているイスラエル・パレスチナ問題をつくり、つくっただけではなく一層こじらせたのは、イギリスである。
よって近未来に中東戦争を引き金とする第三次世界大戦が勃発するなら、その根本原点にイギリスの存在があった。つまりイギリスの責任である。
矛盾を絵に描いたような似たような約束は国が違えどやっている。ナチス・ドイツのことである。ナチスのゲッベルスは、「農家には小麦を高く買うと言い、パン屋には小麦粉が安く買えて高く売れると言い、消費者にはパンが安く買える」と言ってのけた。