第19回男塾「第五次中東戦争に続くイスラエル・パレスチナ戦争」3
580万人に及ぶ難民をつくりだしたイスラエル建国
前回の論考では、イスラエル・ハマス戦争勃発の一報を受けて、10年前に書いた論考を探し出し読み直し加筆してみたが、10年前に既にイスラエルがどうなっていくのか結論めいたことを書いていた。祖国を奪われたパレスチナの恨みは永遠に消えることはないので、イスラエルが何の譲歩もすることなく和平が実現できるはずもない。
今は日本人が住んでいない、竹島や尖閣諸島という島であっても領土問題は一歩も引けない最大の国益問題であるのに、580万人ものパレスチナ難民が生きている領土問題となれば、まったく次元の違うレベルの領土問題である。そういったセンスで今起きている戦争を見なければならない。メディア報道というのは今起きている現実を音と映像を使って報道することはしても、「歴史」を遡って本当の原因を報道してくれることはない。
1948年にイスラエル建国の宣言を受けて第一次中東戦争が勃発し、200以上の村が破壊され約80万人が「パレスチナ」を追われた。周辺諸国に逃れた人々は、以来「故郷への帰還」を切望しながら"75年"にわたり難民としての生活をしいられ、その数は4世代に渡り現在580万人に達している。75年間に難民の数は7倍に増加しているのである。パレスチナ人はこの惨劇を「ナクバ(破局)」と呼んでいるが、確かにイスラエルのパレスチナ奪取は天から降って来た「ナクバ」である。
パレスチナの難民グループは世界で最も大きな数となっている。世界の難民総数は2590万人なので何と5人に1人はパレスチナ難民ということになる。この事実を知ることによって、どれだけこのパレスチナの地が、地球としての大問題を抱えている地であるかが分かろう。