2023/11/10

第616回男塾「景山民夫は知っていた」1

霊界
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第616回男塾「景山民夫は知っていた」1



直木賞作家の景山民夫氏は51歳で亡くなった。1998年1月26日のことであったのでもう25年前のことになる。死因は深夜に自宅から火が出たことによる一酸化炭素中毒死だった。消防隊に救出されて病院に緊急搬送されものの蘇生することはなかった。出火の原因は現場検証の結果趣味のプラモデルを製作していたところ、煙草の火がシンナーに燃え移ったことによる。彼は生涯を通して仕事命だけではなく趣味に興じ、人生を楽しんでいた人であっただけに、ある意味景山さんらしい死であったかもしれない。



こう書くと「私の人生の締めくくりは火事で命を落とすという、文字通り『完全燃焼』した人生であった」と、生きていたら言いそうだ。いや絶対に言うに違いない。


私はその頃は東京から岡山に帰郷し新たな事業に取り組んでいた頃の出来事で、通勤途中の車のラジオから流れて来るニュースで事件を知ったのだが、閉口し思わず車を停車しニュースに聞き入ったことを思い出す。男にとって51歳は働き盛りであり、才能に満ちていた彼の前途は明るかった。人間の死は寿命だと捉えているので決して偶然の死ではないと思っているものの、あの多面的な優れた才能が惜しくてどうにも得心が行かなかった。

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