第600回男塾「ちょっとした経営論」
建材メーカーの苦境
先日、某和室造作材の幹部と話しをした。売れないそうである。それはそうだろう。現代住宅に和室など設計しなくなって久しい。畳が敷かれてあっても畳の部屋ではなくリビングの隅にあるコーナーになっている。
畳コーナーであれば無論、鴨居、敷居など使わないし、襖も障子もない。欄間や書院などあろうはずもない。杉の羽目板の天井材も売れない。檜の腰板をするユーザーなど昨今はほぼいない。こういった生活様式の変化に伴う住宅設計や住まい方の変化は、当然のことながら建材メーカーに影響を与えることになる。
かくて和室の造作材は売れず売上は慢性的な下降線をたどることとなる。田舎の伝統的な入母屋造を建築しているザ・工務店くらいにしか需要がなくなっている。それでは出荷数は減る。
私は純和風或いは和モダンの木をふんだんに使った「和」の住宅を嗜好しているが、現代住宅はキューブデザインのライトな感じの家が主流となっている。私は家の高級感は屋根にあると思っている。あのどっしりとした和瓦がデザインの決め手であると考える。